GINZA SIX 裏 / レナ・レスボワール 上
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No.02 ”S”という女性歯科医

開業して20年になります。
この間、10人ほどの歯科医を育てました。
その中で私が最も自慢にしている『S』という女性歯科医がおります。
彼女は最初、知り合いからバイトでということで紹介を受けましたが、
彼女の仕事ぶり、センスの良さ、性格の良さに1ヵ月後には私からの懇願で
常勤になりました。
その時彼女はこう答えたのです。
「私もここで常勤になり、先生の下で働きたいと思っておりました。
 先生のようになれるでしょうか?」
私は喜んで言いました。
「あなたは外科の基礎が出来ていて、私以上に器用で若いのですから、すぐに私を追い越しますよ。
 そのかわり、3年ではなく5年間は付き合って下さい。
 そして、いずれ結婚をと考えているのなら、ずーっと勤務医で、
 もし良ければそれこそずーっとここに勤務して下さい。
 開業は結婚をあきらめてから考えるように」
5年間はあっという間に過ぎました。
彼女は私にとって同志のような存在になりました。
そしてとうとう《宣言の日》がきたのです。
「先生、私は結婚をあきらめて、開業することにしました」
「エ~そんな。まだ結婚をあきらめないで」
「実はお見合いもいっぱいしたのですが~、いまいちで、私、本当に開業します」
「絶句・・・・・」
彼女の名誉のために申し上げますが、彼女は決して振られるタイプではなく、
明るく美しく申し分のなさすぎるところが欠点といえば欠点だと言えなくもない女性なのです。
現在、彼女は地域で一番の稼ぎ手で、どんな難抜歯も軽々とこなし、
相変わらずニコニコと治療をしていると聞きます。
女性は結婚と仕事(勤務医)との両立はできても、
開業との両立は不可能と言い切った私の言葉は正しかったのでしょうか。
・・・・・・・。
”彼女がいつも幸せでありますように。楽しく頑張っていますように”
と祈ります。

カテゴリー:デンタル小町  投稿日:2008年5月10日