No.12 師
私は短大で歯科衛生士の資格を取り、4年制大学で経済を学び、
卒業後油絵の勉強のためヨーロッパ一周の旅に出かけ、
そのままロンドンの語学学校に入り、インドを経由して帰国後、
結婚、出産、仕事、離婚をめまぐるしくすませ、30歳の時、歯学部へ入学しました。
卒業後、開業医として働く父の仕事ぶりを見て育った私は、
迷わず義歯の大家であり、
銀座で開業されていた河邊清治先生の「河邊臨床教室」の門を叩きました
(当時先生は73歳)。
初めて見学にうかがった日のことです。
訳も分からず棒立ちの私のおシリに突然河邊先生の手がピタリときたのです。
私は反射的にもう片方のおシリを差し出しました。
「おぬし、やるな!・・・・・」
世の中に出て初めての出会いが、仕事と人生の「師」であったことは
とても幸運なことでした。
今でも治療中、河邊先生のおしかりの言葉が聞こえてきます。
先日、暮れから年明けにかけて、桑田正博先生のセミナーに参加いたしました。
桑田先生からほとばしる情熱の熱さが胸に迫り、
心から感動の覚える授業で、もっと若くして門を叩くべきであったと
思わず後悔いたしました。
帰宅し、娘に覚めやらぬ感動を話したところ、
「ママ、その他に何を勉強したの?」
と、きたもんです。
私は命令しました。
「あなたには分からないわ。
それより、あなたも桑田先生の所へ勉強に行きなさい!」
娘は早速、今は廃盤となった桑田先生の本を
インターネットオークションでやっと手に入れました。
(しかも英語版)。
いつか、この本を抱えて現れる私の娘に先生は、
どのような言葉をかけてくださるのでしょうか・・・・・。
恐れ多くも楽しみです。
桑田先生、すばらしい講義を本当にありがとうございました。
カテゴリー:デンタル小町 投稿日:2008年5月20日