vol.4 ドバイ(FDI)から愛を込めて!
ハーイ!
ドバイから帰ってきました。
私にとって11回目になるFDI大会への出席です。
今回は黄金の国、石油の都のドバイということで、
空から金粉でも降ってくるかもと期待を膨らませました。
開催前日、私と娘はドバイの街を確かめるため、
早朝、古い町並みの残る地区へ出掛けましたが、早すぎて人影がありません。
そこで、まだ開店していない店のドアを叩き、無理矢理朝食にありつきました。
お腹が空いていれば何でも旨いのですが、
この時は本当に美味しいインド料理(?)でした。
店開きをした目も眩むゴールドスークは価格が高すぎて手が出ず、
ひやかしで通り過ぎ、料理好きな私はスパイススークで、
サフランでパエリアを、八角で豚の角煮をと、
一生分かもしれない量のスパイスを買い込みました。
このようなマーケットが、旅の1番の楽しみです。
気が付くと船着き場に出ました。対岸に渡し舟があります。
手招きされるまま舟に飛び乗り、
運転している人に1リラハム(30円くらい)を払い、対岸へ渡りました。
そこは迷路の迷路。
オールドスークがあり、中はまったくの別世界で、
インドのベナレスの町に入り込んだような気がします。
どこが出口か見当もつきません。興味をそそられる小道を見つけて、
ウロウロ迷いながらバスタキア地区へ辿り着きましたが、
ここからも更に迷路は続き、暑さでクタクタ、フラフラになりながら、
やっとレストランを発見することができて、ホッとしたのです。
聞くところによると、ローカルなドバイ人は、
人口の18~20%。あとの80%は、
インドやパキスタンからの出稼ぎだそうです。
彼らは、300万円を資本にし(150万円は雇い主負担、150万円は本人出資)、
タクシーを始め、3年で元を取り、
1年に2カ月ほど家族の待つ自国へ帰るという生活をしています。
このような彼らの労働が、この国を支えています。
鉄道もバスもないので、車ばかりが増えて、道路は渋滞だらけ。
砂漠の緑化が遅々としているというのに、月から見えるようにと、
海にパームアイランドという人口島を作ってしまう感覚。
住宅もインフラも整備途中なのに、高層ビルばかりが乱立する町。
黒(ブルカ)と白(アバヤ)の民族衣装しかなかったファッションに
突然あふれるブランド店!!
お金の使い方が分からない人がお金持ちになった国!
歴史と文化がなくてお金だけが余っている国!
このような現実が、私たちがドバイに抱いていただ夢のような期待を
裏切りました。
そのためかどうか、100回を越えるFDIの開会式
(私はその最後の11回しか知りませんが…)の中で、
最もつまらなく、あっけないものでした。
楽しみにしていた各国の旗は振られず、
ドバイナイトもガラディナーも散々でした。
が、クアラルンプールから始まって6年目になる
ウーメンデンティスト(世界女性歯科医師の会)は、
戻ってきた元FDI会長のミッシェルさんを筆頭に、活発に開催されました。
特に、ブルカをエレガントに着こなした
若いドバイの女性の話しには感動させられました。
彼女は当然ながらお金持ちの家庭に育ち、大学で医療を学び、
結婚し子供を育てながら、貧しい地域医療活動に、
男性の中で唯一の女性として頑張っているそうです。
1つの理解を得るために、100回同じことを話さなければ
男性たちの納得が得られないとか…。
私たちは彼女に心から応援の拍手を贈りました。
アメリカのアシャ教授の義歯に対する強気の発表には
興味深いものがあり、講演後に彼女に質問をすると、
一切認めようとしてくれません。聞く耳を持たない教授は、
どこにでもいるものだと感心しました。
アフリカのルワンダの方の発表のスライドには皆、
目が点になり、未だに医療の行き届かない国の現状に驚かされました。
いずれリタイアしたらルワンダに手助けに行こう! と、
後進国に医療の原点を見せつけられて、非常に興味を持ちました。
発展途上国の現状は、いつも考えさせられますが、
日本にいて保険制度の中でストレスの塊になっているより、
よほど楽しく、おもしろく、仕事の生きがいがあるように思えます。
出席し始めて11回目のFDI、尊敬するミッシェルさんが
初の女性のFDI会長を退官した今回で、
この大会に出席することを打ち止めにしようと、
ひそかに決めておりましたが、来年はストックホルム、
その次はシンガポール、そしてブラジルと、
これからの開催国を聞くと魅力的です。
それに、以前は普通の開業医だと思っていた人たちが、年ごとに立派になり、
地域の歯科医師会長にまでなっていく彼らや彼女たちに、
年に1回逢う楽しみは格別です。
私は最も古い日本の顔(以前は日本代表国の1人で、現在は個人参加)
になってしまいましたが、
もう少し楽しんでみようと思いはじめました。
それにしても、日本だけがコロコロ代表(日本歯科医師会)が変わり、
世界の友人たちを失っているのが残念です。