vol.19 オリエンタルホテル
1年中で最も過ごしやすい5月の連休は、
毎年我家でバラの手入れをするのが恒例でしたが、
今年は運良くマイレージで航空チケットが取れたので
娘と2人でバンコクへ飛びました。
タイのバンコクのオリエンタルホテルを常宿として20年近くになります。
ここはサマセットモームや、三島由起夫が長期滞在をして小説を書いたホテルです。
そして世界のホテルランキングで、10年以上も1位を取り続けたことでも有名です。
お部屋はシックで安らぎ、ファックスもDVDもアイポットも使用でき、
何度バスルームを使っても、いつも真新しいタオルに変わっています。
朝早く起きて、プールサイドで新聞や本を読みながら簡単な朝食をすませ、
熱い日射しに耐えられなくなると部屋へ戻り、シャワーを浴びて、
レストラン“ヴェランダ”でくだもの一杯の昼食をとり、
スパへ行ってフットマッサージを受け、夕方近くに町中へ買物に出かけた後、
夜には予約してあったレストランへドレスアップをして出かけます…
(ゴクラク 極楽…)。
このオリエンタルホテルで、40年近くグランドマネージャーとして君臨したミスターGMが、
この5月で退職することを聞き、私は彼にお花とメッセージカードを贈りました。
『 Dear Mr.G.M.
私が20年程前に初めてこのホテルに泊まった時、
ホテルはあなたの自宅のように奥様と犬と子供達に注ぐ愛情に溢れ、
とても居心地のいいものでした。
私はこのオリエンタルホテルに泊まるために働き、
私の人生の1番の楽しみと喜びは総てこのホテルがもたらしてくれました。
このホテルならではの多くの素敵な友人達を紹介して頂き、
共に遊んだことは私の思い出の宝です。
このホテルはMr.G.M.あなたそのものです。
優雅で品があり、ホスピタリティーと笑顔に溢れています。
あなたがこのホテルを去ることは、私の家族が消えるように淋しく感じます。
このようなホテルに宿泊できることをほこりに思い、
あなたが育てたこのホテルを愛し続け、あなた自身に感謝し続けることでしょう。
いつまでもお元気で。
To Mr.G.M. From HISAYO 』
バンコクのホテル(観光)業界は、ここ2~3年、“サーズ”で落ち込み、
“世界不況”でまた落ち込み、更に“政治混乱”と“インフルエンザ”にやられ、
現在立ち直れない程の打撃を受けています。
5月の連休は通常日本人の観光客でどこのホテルも一杯ですが、
今年はまったく日本人の姿を見ません。
そして、ほとんどのホテルの客の入りは2~4割程度で、
このオリエンタルホテルでさえも、例外なく
4つあるレストランの2つは臨時閉鎖していました。
心なしかスタッフの数も減ったようです。
そこで、こんなメッセージをホテルのスタッフに渡しました。
『 オリエンタルホテルの皆様へ
私はどこのリゾートホテルより、このオリエンタルホテルが大好きです。
この世界情勢(不況とインフルエンザと政治の不安定)の中、
あえて仕事ではなくバカンスとしてこのホテルに泊まる客がいることを思い出してください。
不況は皆同じです。
通常より静かなホテルで優雅に過ごす、本当の贅沢を味わうために来る客を相手に、
不況をチャンスと思って戦略を立てて下さることを願います。
可愛いベルボーイ
優しいコンシェルジュ
美しいマネージャー
親切なドアマン
そしてG.M. そしてお客様達
全員で一杯の写真を世界中のお客様に送り、
オリエンタルホテルはどんな時でも、何があっても、
安心で安全に皆様をお待ちしていることを伝えてはいかがですか?
皆さまがんばって下さい。 』
オリエンタルホテルを愛してやまない泊り客の1人として、
私のメッセージはどのように受けとめられたのでしょうかね。
次回の滞在を約束して、ホテルを去った複雑な気分の私でした。
又、みんな全員に会えるといいのですが…
注 メッセージは私は日本語で書き、
日本人のスタッフが訳したものと2通お渡ししました。