vol.26 馬耳東風
私は埼玉(川越)と銀座に診療所を持っています。
今春、川越のアップル歯科の院長が辞めます。
そのため現在、求人斡旋の手続きをしています。
開業していて1番困ることは、常にスタッフのキープです。
幸いなことに、今までなんとか、いい方ばかりに恵まれてきたことが、奇跡のように思えます。
先日、素直そうな大学の診断科に在籍の方が来られました。
午前中いっぱい見学していただき、患者さん用のプレゼンのスライドもお見せし、
さらに私の考えも伝えました。
そして帰られる時に
“ところで、私のところで何をしたいのですか?”
“エッ”
“つまり、a.見学、b.勉強、c.アルバイトのどれかということです”
“bとcです”
“分かりました。
勉強についてはいっぱいお教えできるでしょう。
特に義歯を学びたいようなので、あなたさえよければ厳しくお教えできますよ。
アルバイトについては、どれ位できますか?”
“全くできません”
“正直でいいですね。
アルバイトに関しては、働いていただかなければいけませんので、
更に勉強をしていただきます。
まず歯型彫刻から始めましょう”
“分かりました。少し考えさせてください”
彼が帰ってから思いました。
なぜ、しゃにむに
“お願いです! どうしても義歯の勉強をしたいのです。勉強させてください!”
と先輩の胸に飛び込まないのでしょうか?
熱意の感じられない、上から目線の態度に醒めてしまう私です。
鬼と言われている私ですが、勉強に来られる方に一銭も渡さないということはありませんのに…
とりあえず、首を長くしている私です。
雇い主の立場から(コムネットの読者の方はほとんどが雇い主の立場だと思われますので…)
言わせていただくと、お給料は働いた報酬であり、働かない人はいただくことができません。
よしんば先物投資と、働きに見合わないお給料を渡されたら、
勤務医の方は心より有難いと思うべきです。
もし給料が少ないと思ったら、一生懸命勉強し、働いて売上を上げてから、
給料アップの交渉を求めてください。
売上を上げるためには、院長と共に話し合い、努力し、提案してください。
その結果は、ご自分が開業すれば、必ず役に立つでしょう。
ついでに、この不況の中、何を考えているのか! と大学に居残っている新米先生方にもあきれます。
書き出すと、日頃のウップンが思い出されてきました。
“これは何ですか?”
“知りません”
“これをどう思いますか?”
“分かりません”
今時の若い方は、知らないこと、分からないことを恥と思わず、正々堂々と返答します。
私のように年を取り、経験を重ねた者は、その自信ありげなバカ返事に返す言葉もありません。
“知らないとは何事ですか、調べなさい!!”
と叱る気力も失せます。
昔は両親や先生から
“そんな事も知らないのか、分からないのか、恥を知れ!!”
とどなられたものです。
『知らないこと』『分からないこと』は恥だったのです。
…と、いろいろ言っても馬耳東風でしょうね。
すると
“馬耳東風ってなんですか?”
“分からないの?”
“知りません”
と言われそうですね…あ~ぁ。
ところで、どなたか歯科医師、歯科衛生士の方で、勉強したい、
頑張りたいと心意気に燃えておられる方がおられましたら、ぜひご一報ください。
私と働くと楽しいですよ。
すごく勉強になりますよ。
高給優遇致します。(アレ?!)
本気でお待ちしております。
追伸:ただいま、 “VIVA・美歯・入れ歯”で全国講演中です。
声をかけてくださいね。