vol.29　モロッコ

ドバイまで直行便で12時間、３時間余りの乗り継ぎ時間後、
カサブランカまで８時間のフライト、
カサブランカの空港から列車の駅まで40分かけて移動して、
２時間列車を待ち、それから４時間かけてマラケシュに着いた時には、
日本から30時間も経っていたのです（フゥ～～～）。
２つの診療所を休みにして娘と突然出掛けたモロッコのマラケシュの町は、
美しすぎる夕陽とフナ広場に集う異常な人の多さに圧倒されて始まりました（キタァ～）。
世界で１番といわれる迷路のスークの中にあるリヤドエニアという宿に辿り着き、
部屋の扉を開けた時の驚きはまさに仰天！！
高い天井からベッドに落ちるドレープの天蓋、秘密の小窓がついたトイレ、
開放的なバスルーム、そして突き当たりの階段を上がり、
ドアを開けると空中ベランダが……。
高級ホテルを泊まり尽くしているこの私が、
テレビも電話も部屋のカギさえないこの宿にすっかり感動してしまいました。
　
朝は５時に町中に鳴り響くお祈りの歌で起き、天空のベランダで朝食をとり、
迷路のスークのそのまた迷路を歩くと、
見るもの、聞こえてくるものがキラキラと心に波打ち、
本当に楽しくて仕方がありません……。
　
古都のフェズは更に美しく、遠い丘の城壁のシルエットが、
一眼レフの望遠を持つ手を震えさせます。
　
私と娘は何度も「来て良かった」「来て良かった」と頷き、
久しぶりに旅というものに興奮しました。
　
私はある時、何のために仕事をするのか、
何が楽しくて、何が悲しくて生きているのか……、
と考えたことがあります。
そして、まず人生を楽しくするために生きようと思いました。
そして私にとって楽しい事とは旅をすることです。
そこで旅をするために働くことにしたのです。
　
預金をするより旅を優先します。
預金は消えてゆきますが、旅で得た思い出は、宝になり、心を大きくします。
そして、旅の途中で友人を得ます。
今回はハーバード大学の講師と友人になり、
メールアドレスを交換したり、
ロシア人でアイルランド人と再婚したおばさまのグチを聞きながら、
どこの国の家庭状況もあまり変わりないことを再認識したり……、
笑顔がやけにかわいいおじさんから感謝される程のおみやげを一杯買ったり……。
　
どうでもいいことですが、何千年も前から続く土地で、
今という状況を共有し、共に歩いていることの不思議な現実に一瞬の覚醒を覚えるのです。
　
そして旅はどの土地でも、必ず住んでみたいと思わせてくれます。
　
マラケシュとフェズを満喫し、また30時間近くかけての帰国の機上、
私たちはもう次のモロッコへの旅のルートの話に夢中になっていました。
次回はヨーロッパのセレブの隠れリゾート地の”エッサヴィラ”と、
アトラス山脈とカスバを超えて、サハラ砂漠を目指すことにします。
　
暇があっても金がない、金があっても暇がない、
今じゃあ暇も金もない…と言われますが、ものは考えようです。
元気なうちに好きなことをして、
病気になったら「あ～あ面白かった」と言ってサッサと死のうと思っています。
　
こんなに真面目に働いているのに食っていくのがカツカツの保険制度ってなんですか？　
国民を救うより、歯科医を救っていただきたいものです。
全国民に安全・安心の医療なんて、平等に負担を担った人だけが言えることです。
高い保険料払っている人は健康に気をつけて生きているのに、
グータラで保険料を払っていない人は保険料を使うだけ使い、
サッサと生活保護を受け年金も受け取れるのに、働き続けていると、
年金さえ満額にいただけません。
　
腕のいい歯科医が食っていけなくて、
口のうまい歯科医が金を儲けるのも自由競争なら、上
手な形成と下手な形成が同じ点数っていうのは、やはりおかしい…？！
　
この矛盾に気がつくと、結論はひとつ。まず補綴を保険から外すべきです。
　
モロッコは果てしなく非現実な地の果ての国でした。
テレビも電話も（私の泊まった宿だけだと思いますが）金もありませんが、
ただ豊かな時空がありました。
　
変わらず続く時の流れという歴史の中にいる心地良さが、
細やかな感情をとても豊かにしてくれました。
　
皆様も”エーイッ”と飛び出してみませんか。
『人生』について少し考えてみるために…。