天ママStyle vol.51　生きること

※デンタルサポート・コムネット TOGETHERに連載中の
『天ママStyle』の内容をアップさせて頂いております。
********************************************
今年も猛暑！　節電！　記録更新！　とさわがれていますが、
夏女の私にとってはなんのその！
「さあ、来い！　太陽！　全身で受け止め、ビキニの跡で目にもの言わせてみせよう！」

…なんのこっちゃ？！
昭和の病気（モーチョー）から復活した私は、
以前よりもバージョンアップしております。
皆様、残暑お見舞い申し上げます。
オリンピックを楽しんでおられますか？
さて７月にちょっと入院生活をし、
５日間程点滴で生きながらえていた私は、とても貴重な体験をしました。
それは仕事上、『噛めないとボケますよ』と
患者さんに咀嚼障害のお話をしてきましたが、
それがいかに観念的な言い方であったかという事に気付かされたのです。
実際、噛めない状態に追い込まれ、口からものを入れなくなり、
噛むことをしなくなると、【食べたい】という感情が消え、
さらに生きることへの活力をも失ってしまいます。
極端な言い方をすれば、（このまま消えてしまっても…）と思ってしまう程、
思考能力も無くなってしまいました。
そして初めての食事（おかゆ）…。
この（おかゆ）にとても感激はしたのですが、
まだ食欲という程のものではなく“まず口に入れてみましょう”レベルでしたが、
３食目位から“美味しいものが食べたい”という欲求が沸いてきたと同時に
“帰りたい”“元気になりたい！”と思い始めたのです。
つまり、口からものを入れるだけでは身体の元気を得るだけで、
心の元気を得るためには噛めないとダメで、
せっかく噛むのなら、美味しいものを食べたいと思えて、
やっと生きたいと思い…心が回復することを知りました。
この実体験は、職場に復帰してすぐに活用されることになります。
お口の中がガタガタで噛めていない方に共通していることがあります。
・元気がない
・目に力がない
・とりあえず、という感性で生きている
・目先のことにしか興味を示さない
・美味しいものへの欲求レベルが低い
まさしく前記のような方が来院されました。
私は噛むことが出来なかった時のことを思い出して、下の質問をしたのです。
・本当に美味しいものを食べたくありませんか？
・もっと元気になりたくありませんか？
・みんなと楽しく食事や外食をしたくありませんか？
・あと何年程生きたいですか？

まさか歯医者さんに、こんな質問をされるとは思ってもおられず
ビックリされましたが、私の入院体験をお話すると、
打ち解けられ、噛めないグチを話され、さらに”元気になりたい”と言われ、
しっかり治療されることを希望されました。
今、この原稿を書いている最中に、
大正11年生まれ（90歳）のMさんが来院されました。
腰を痛めたのと、胆石で入院されていたのが奇跡的に回復し、
久しぶりに義歯の調子を診て欲しいと言われます。
調整し、リライニングをして差し上げました。
「先生、ありがとう。先生のおかげで何でも食べられます。本当に感謝していますよ」
「ねぇMさん。長生きするとさみしくないですか？」
「気の持ちようですよ。天井先生だったら１人でも楽しく生きられますでしょう？」
「はい！　心がけます。きょうは入れ歯をさらによく噛めるようにしておきましたから、
Mさんこそ、まだまだボケずに楽しめますよ」
「あ～らそう、ありがとう！」
私はこの方が大好きで、時々…本当に時々ですが、
寿司屋さんでちらし寿司を作ってもらい、
暇な日曜日、一人暮らしの彼女を訪ね、２人でランチを楽しみます。
そうだ！　今週の日曜日でも訪ねてみよう！
『Ｍさん、今度の日曜日に、またちらし寿司を持って伺いますが、いかがですか？』
『嬉しいわ、お待ちしていますヨ』
『お大事にしてくださいね！　じゃあ日曜日に！！』
【編集部注：ランチのお写真は天井先生のFacebookで見ることができます】