天ママStyle vol.54 チャラ子ちゃん
※デンタルサポート・コムネット TOGETHERに連載中の
『天ママStyle』の内容をアップさせて頂いております。
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前号で書いた衛生士のその後の様子をお知らせいたします。
キャラは「ローラ」そっくり!!
チャラ子ちゃんと言ってしまいそうになります。
このチャラ子ちゃんはお箸がうまく持てません。
姿勢はクネクネ、ダチ言葉、
返事は「ウン」。
「エ~、こんなにセメントがあるんですか?」
「エ~、私も洗い物をするんですか~?」
「分からない時、どうするんですか~?」
「!! 聞けばいいのよ!」
先輩スタッフ達は、キレるより呆れながら接しています。
前の歯科医院では誰も何も教えてくれず、
院長は治療が終わると院長室へ引きこもり、
スタッフ達はダベリまくり、
印象剤は機械で練和していたので、ハンドでは練れず、
案の定、石膏は気泡だらけ…。
「ウ~ン」
昨日、じっくりと彼女と話してみました。
すると、このチャラ子ちゃんはローラ的話し方ではなく、
普通に話しはじめたのです。
聞くところによると父親は努力家で、
仕事に必要な英語をTOEIC900点まで独学で取得したそうで、
自分も努力する人間になりたい、
自分に自信を持ちたいと思っていたので、
怖そうな私の写真をホームページで見て、
(この人なら叱ってくれそう!)
と思って応募したのだそうです…(ウッ…ウッ…涙…)。
こういう殺し文句に弱い私は、腹を決めました。
「確かに私は怖いですよ。ものすごく叱りますよ。
でも、必ず一人前の歯科衛生士にしてあげます。大丈夫ですか?」
「エ~、怒らせちゃうかも…。先生の血圧を上げちゃうかもしれませぇ~ん…」
「あげないようにすればいいでしょう! どっちなの? やる気があるの? ないの?」
「あります、あります、頑張りま~す」
「じゃあ、さあ勉強、勉強です!」
1.石膏模型でスケーラーの使い方の再確認、練習
2.材料の種類、使用方法の暗記
3.消毒の仕方、器具の洗い方
4.敬語の使い方、立ち姿、気配りの仕方
5.歯科衛生士としての心構え、考え方の整理、等など…。
スタッフ達は半信半疑なのですが、
私はチャラ子ちゃんが、いつか変身して、
素晴らしい歯科衛生士になってくれるのではないかと期待しています。
そして、いつか『チャラ子、変身!!』と皆様にお伝えできるのも、
遠い日ではないかもしれません。
話は変わって、先週、母校の講義のため北海道へ行き、
久しぶりに同級生に再会しました。いろいろ話をしているうちに、
彼女は「保険診療だけではやっていけないけど、ないと困るのよね」と愚痴ります。
私は、いつもの話を力説しました。
・保険はとりあえず治療で、半年~2年の保証しかしていないこと。
・予防ができる歯科疾患に保険診療はおかしいこと。
・補綴は機能回復装置であり、リハビリ装置の一種に保険適用はおかしいこと。
・保険が使えるからデンタルIQが低いので、外すと(補綴だけでも)
デンタルIQは必ず上がり、患者さんのためになること。
・保険はヘタな歯科医を助ける制度であること。
・歯科医師は他の社会を知らないので、不満を持ちながらも何をすべきか分からないこと。
・保険ありきでやってきたので、自費と保険診療の違いをモノでしか説明できないこと
(例:白い歯と銀歯、レジン床と金属床)。
翌日、別れるときに彼女は言いました。
「今までとりあえず食べていけるから、納得している訳ではないけれど、
しょうがないことと思っていたわ。でも、諦めちゃあいけないのよね。
誰かが言い続けてくれなければ歯科界は変わらないから」
「私も正直言って、変われると思っていないのかも…だけれど、
全国民が地デジに移行できたのよ。3~5年かければ、
補綴だけでも保険診療から外すことは出来るはずよ。
でも、日~~~会がアホやから、発想がないのよね。
彼らは何もかも保険に導入することがいいことだと思い込んでいるのよ。
外す方が、予防が発達し、国民のためになるのにね。
さらに情けないことに、最近女性歯科医が増えてきたのは
開業医を減らす政策のためで、もう少しの辛抱だと言う人もいるくらいよ。
少子化で人口も減っていることに気付いていないのかしら…」
「頑張ろうね!」
「うん、頑張ろう」
私達はお互いを元気にして、久しぶりの再会を有意義に楽しく過ごしましたとサ!