天ママStyle vol.60 心の支え
※デンタルサポート・コムネット TOGETHERに連載中の
『天ママStyle』の内容をアップさせて頂いております。
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最近、埼玉の診療所にも、銀座の診療所にも、
駆け込みの患者さんが目立ちます。
1. 3年半通院しているのに、噛めない。
最近、急にインプラントか義歯かと言われたけれど、どういうこと!
2・ 1年以上、右は仮歯のまま、左は痛いのに手もつけてくれない。
3. 噛めない入れ歯だと言われたけれど、本当に噛めない!!
4. 1年間通ったのに、やっぱりどこかへ行ってくれと言われ、
歯医者さんに不信感を持ってしまった。
(笑えますね)
1.の方は、前歯の2番+3番だけはMBを装着しているのですが、
4番は根治の途中で歯牙破折(?!)で抜歯をし、
5番はずっと前に抜いたままで放置、67番は仮歯、
その下顎は567番が欠損のまま。
右は654番が仮歯のまま3年半経過…。
最近になって、45番と6番にインプラントか義歯を入れないかと言われ、
理解できないのでとセカンドオピニオン。
この方の場合、私ならどうするかとお話するしかありません。
まず治療計画を立てて、患者さんの納得のもと、治療を進めますが、
3年半もの間に、なぜ途中経過として質問されなかったのですか?
今一度、今までの費用(すごく高額を支払っている。
さらに、インプラント代を提示されている)の内訳をお尋ねになり、
相談されるようにとお答えしましたが、
実のところ、私が治療した場合はインプラントも義歯も必要なく、
1~2カ月以内に噛めるようになりますよ! とは言えませんでした。
あまりに治療内容の程度が低かったからです。
2.は治療が長引くのは大学病院にありがちですが、
とにかく早く完成補綴物を入れてくるように!
その後、私が左を治療することを引き受けると、その方は大学に戻り、
強引に右の上下6番にクラウンを装着して来られましたが、
噛めないと言われます。
理由は、この方の担当医が補綴物の咬合調整を
患者さんに伺いながらしたのでしょう。
仮歯が金属のクラウンになった場合、
患者さんは『硬い!』を『高い!』と勘違いされ「高い! 高い!」と言い続けられます。
その言葉を真に受け、咬合調整をし過ぎた担当医がおバカなのです。
私の場合、まずset前に全体の咬合をチェックし、
たった1本のクラウンでも両側に咬合紙を咬ませて調整します。
決して、その歯だけを咬ませる小さな咬合紙は使いません。
当たり前ですよね。
3.の場合、保険の入れ歯で患者さんが満足するような
義歯を作るのは無理かもしれませんが、
最初から噛めない! と宣言するよりは「この程度ですが…」と、
一応噛めるようにしてあげるくらいの技量は持っていましょう。
さらに、タコもスルメもタクアンも食べたいと希望されたら、
保険の義歯の場合は不可能であること、
しかし自費の義歯ならば、何でも食べられると強調し、
自費の入れ歯を作って差し上げ、先生の腕を発揮してください。
話は変わりますが、ある先生方は、その保険の義歯でさえ上手ではなく、
最悪、義歯が苦手だからインプラントを勧めるようですよ。
4.の方は、1年以上通院したとは思えない程、グラグラの歯ばかりで、
歯周病の治療もされず、咬むところがない40代の方でした。
このような方の場合、残せる歯、ダメな歯を診断し、
仮義歯か仮歯をいれ、歯周病の治療をしながら最終補綴をしていきます。
現在、この方は泣いて訴えていたことなど、すっかり忘れて、
嬉々として通院されています。
我々歯科医師は、歯科疾患が口の中よりも患者さんの心までも
病ませてしまう事を肝に銘じ、
お口の中に物(クラウンや義歯)を入れるのではなく、
機能を回復させる治療をしている事を自覚しなければいけません。
そのために、日々勉強し、常に自己研鑽するべきなのです。
先日、桑田正博先生のセミナーに陣中見舞いに行き、
先生と久しぶりにお話をしました。
70代後半の桑田先生が
「天井君、僕は100歳まで生きるよ。なぜかというと、
毎日仕事が楽しくて仕方がないし、
勉強したいことが一杯あるから100歳まで生きないといけないんだよ!」と
キラキラした瞳で、まっすぐ宣言されたのです。
「ホントーですか?」
私は突然、心が”点”になりました。
100歳までとは言わずとも、せめて生きている限り、
仕事や人生に挑戦し続けなければ…と久しぶりに元気が出て、
やる気が湧いてきました。
桑田先生…いつまでもお元気でいてください。
先生がニコニコと笑顔でおられる事は、私達の心の支えです。
頑張ろっと!