天ママStyle vol.69　保険改正

４月に保険診療改正がなされて、１ヵ月が過ぎようとしています。実を言うと、初回を聞きのがしたので、明日、改めて保険点数説明会が開かれるとかで…行かねばなりません。

皆様は、今回の改正をどう受け止められましたか？

今回の目玉とされるＣＡＤ／ＣＡＭの導入は、どうお考えですか？

実は、将来の金属の高騰を見越して、ＧＣを含む歯科界が考え出した苦肉の策というか、保険診療しかしていない先生方へのプレゼントだそうです。つまり、12％パラのクラウンの利幅は、クラウンの点数の総額の半分にも達せず（ヘタな形成程、金属代がかかる）、作れば作る程、保険義歯と同様赤字になりますが、ＣＡＤ／ＣＡＭの白い歯は金属代が不要なので、技工代金を差し引いてもクラウンより利益が多いと思われ、歓迎されているそうです。
ホンマかいな、何千円の話ですヨ！

私達歯科医師は、サイズごとにストックできる靴やゲタを作っているわけではありません。
６年間かけて勉強し、さらに日々研鑽を積んだ技術を詰め込んで形成し、型を取り、コンタクトや咬合を確認した後、患者さんの口腔に装着する完全オーダーメードの仕事をしています。
それが、たかだか、黒い歯（銀歯）、白い歯（差し歯）、白くて高価な歯という物で捉えられるなんて言語道断です。

患者さんにしてみれば、安価で良いものが入れば大満足ですが、事実は安価でそれなりのものしか入れてもらえていないと知れば、どう思われるでしょうか？！

歯科領域が、生きていく上で重要な領域だと世の中に理解されるようになってきました。この機を逃さず、
・良い義歯を入れたら、歩けるようになり、元気になります。
・咬み合わせを直したら、肩こり、偏頭痛、腰痛が治ります。
・歯周病が改善されると糖尿病もよくなります。
・あなたのアレルギーは銀歯のせいかも…
・ボケ防止はお口を健康にすれば防げるのです。
等々、もっと宣伝してはいかがでしょうか？

つまり削ってナンボの保険点数をアテにせず、広い視野から歯科を捉えて、患者さんに説明をすると、ほとんどの患者さんは目からウロコのように明るい顔をされます。

勉強した知識と技術が、患者さんの健康の源になると思えば、それこそ歯科医師冥利に尽きるのです。

私は患者さんに【とりあえず治療はしない】と常に断言しています。この断言は大切なことで、患者さんは痛い思いは嫌いですし、ひいては歯科治療なんて大嫌いな方ばかりです。そのために《とりあえず治療》ではなくて《一生の健康を守る治療をする》と申し上げると、ほとんどの方は耳を傾けてくださいます。

私は例外（他大学を卒業し、世の中に出てから30歳で歯学部へ入学した経歴を持つ）ですが、医師という方々は視界の狭い井の中の蛙軍団です。６年間の教育で、すっかり洗脳され、いつまでも保険治療から抜け出せません。

私が卒業して、すぐ飛び込んだ義歯の河邉臨床教室の河邉先生は、
「天井!! 10年間は保険診療をして患者さんに奉仕しなさい！10年経ったら自由診療をしてもいいです」と言われましたが、10年遅く卒業していた私は、
「５年間だけ奉仕というのはダメですか？」と食い下がると無視されてしまいました。

皆様、保険点数の改正に一喜一憂することなく、自分の信じる道をつき進んでください。信念を持った治療姿勢は必ず患者さんに理解され、受け入れられます。
この私のような、とんでもない風体の、言いたい放題の説得でさえ、受け入れられているのですから…
……説得というより脅しに近いかも……

皆様、頑張って、立派な治療をして、保険点数を蹴飛ばし、しっかりと患者さんの健康を守って差し上げましょう。

そんなこんなで、ある方のご忠告で、ＮＰＯ法人を立ち上げようと思っています。
将来の歯科界のためと、全国民のデンタルＩＱの向上に、これからの歯科医師人生をかけてみようと思います。

その時は、改めてお知らせしますね。