天ママStyle vol.74 アレルギー
実りの季節となりました。
今年も梨や柿を多く見かけますが、近年、私は大人限定のくだものアレルギーが出て、梨も柿も食べられなくなりました。
ラ・フランスにかぶりついていた昔が……恨めしい!
アレルギーといえば、こういう患者さんにもアレルギーが出てしまいます。
最近、私と私の友人が、モンスター患者アレルギーにあたり、とっても心を傷つけられた話があります。
ある日、「早く治療して欲しい」と治療を急かす方が来院されました。
お口の中は治療しなければいけない歯が多く、そんなに早く終わりそうもありません。いつもならば、模型を採り、次回までに治療計画を立てて、お見積もりをするのですが、急がれるので、治療必要最低歯数を示し、「だいたいこんなところです」とお話しました。
「決めた!」
「いいんですか? 奥様にご相談なさってください?!」
「大丈夫! 次回からやってください」
その次回、抜歯、根治、ラフ形成、ブリッジ5本分の仮歯仮着等を行い、その次の日には前歯の形成仮歯まで、やらせていただきました。
ここまでの患者さんは、とても喜んでおられたのです。
と、突然の電話。
「仮歯が咬めない!」
「前歯が出っ歯だ!」
「反対側もやっての治療費のはずだが……」
そこで…
「患者様、仮歯のところは治療をはじめたばかりで、抜歯の傷もあり、根治をしていますので、一時的に咬み難いだけです。すぐに良くなりますヨ!
前歯は、以前よりも相当内側に入れてあります。もう1度確認されてはいかがですか? 治療費は、現在必要最低額を申し上げたわけで、反対側は今の治療が落ち着いたらお考えになってはとご提案させていただいておりますが……」
しかし、この方は何を言っても納得されず、「家内が前歯が変だと言う。それに咬めないのに、このまま最終の歯が入るかと思うと不安で仕方ない。これ以上通院する気はない。今までの治療の明細を知らせて欲しい!」の一点張り!
そこで私の経理担当の者と相談をして、今までの治療見積もり書を送らせていただき、解決いたしましたが、大変後味の悪い結果になりました。
この件で得た教訓は、“気をつけて! 本人の後ろの人の声!!”です。
とはいえ、歯の治療は難しいですね。これが【ガン】だったら、手術代を値切ったり、文句を言ったりしませんよね。さらに最悪なことは、手術が成功したか、どうかは、傷口を縫合してしまえば、見て確かめられるものではありませんし、術後の痛みに七転八倒しても、当たり前と扱われてしまいます。
同じ医療なのに、歯科治療は「痛い!」とか「高額だ!」と言われ放題!!
どうにもワリに合いません。
正しい歯科治療をすると…
肩こりや偏頭痛が治り、認知症や誤嚥性肺炎を予防し、笑顔が美しくなり、表情がイキイキとし、若返り、いい女、いい男になるという付加価値を、どうやったら認めていただけるでしょうか。
私の友人は、私よりも数倍丁寧な仕事をし、誰よりも説明に時間をかける先生なのですが、ある若くてきれいな患者さんと、段々話が合わなくなり、もうどうしようもなくて、経過について詫びる言葉を常識的に、つまり「すみませんでした!」と言ったそうです。すると相手の患者さんは、「私は先生の、その言葉を聞きたかったのです」と、チョータカピーに言われ、のけぞったそうです。
くだものよりも、男より、女よりも、恐いのは患者さんかも……
恐い恐いアレルギーに震えています。
真面目に、良かれと思い、一生懸命仕事をしているんですがね。
梨も柿もダメになりました。
どうか、リンゴだけはアレルギーになりませんように。