天ママStyle vol.75 年の初めの親孝行
銀座のクラブのママ主催の超~楽しい初詣ツアーに、昨年に引き続き、今年も京都へ行きました。
私達後発隊は、お昼のハンバーグランチに間に合うように京都へ入り、先発隊と合流して、美味しくハンバーグをいただいた後に、四国の高名なお坊様の宗学さんの案内で陶器神社と八坂神社へお参りし、その後少しの自由時間後、6時から予約の取れない星付き料理屋さんでのお酒とお食事に大満足して、さらにその後、祇園へ場所を移し、舞妓さんや芸者さん達とのお茶屋遊びに興じながら、京都初詣大満足の1日を終えたのです。
この初詣に毎年付き合ってくださる宋学さんは、神社に手を合わせる時は必ず「あることがたし」と唱えるようにと言われます。彼曰く、この「あることがたし」と唱えながら人様の幸せを願うと、自らも幸せになるというありがたい言葉なのだそうです。
翌朝、私は実家のある福井へ帰省しました。
久しぶりに会う父は足腰が衰弱し、義歯もガタガタです。
「義歯、治そうか?」
「治してくれるか?」
ところが、父は診療室まで歩けそうにありません。以前、母が使っていた車椅子を取り出し、それに父を座らせ診療室に連れて行きました。
〔実家は祖父の代から歯科医院を開業し、父も歯科医師で、現在は私の妹が継いでいます〕
咬合の挙上をし、リベースをし、笑っても、引っ張っても落ちない義歯にして、再度車椅子に乗せて父の部屋に戻り、落ち着かせた後、次は母のいる施設に行きました。
母は今年90歳になりますが、ニコニコと元気で、私を見るととても嬉しそうで、それに施設の方々ともすっかり打ち解けて楽しそうです。
「これは安心…安心…」
少々の談笑後、気が気でない父の待つ実家へ帰ると、部屋にいません。慌てて探し回ると、診療室の1番奥のチェアーで、父はエンジンを動かし、私がやったリベースの気になるところを研磨し、さらにフィッシャーバーで歯頸部のラインを整え、きれいにしています……
「うまい!」
私は父の手先の動きに、しばし見とれました。そして上顎の義歯だけで、私を見上げて笑う父の笑顔に胸が熱くなりました。
この手で父は私達を育ててくれた……
この父がいるから、私がいるんだ……
まだまだ、働かなくていいから、エンジンを握らせてあげたい……
父は今年95歳になります。
両親を見舞っての帰り道、実はこの日、1日中付き合ってくれたみゆきさん(vol.73.に登場済み)が、突然、私の前に手を掲げて言いました。
「先生! 私、きょうは1度も痛くなりません!
実は2ヵ月程前から全身の節々が痛くて、手も曲がり、リウマチになったのかと病院にも行きましたが、原因不明で困っていました。
ところが、きょうは朝から、どこも、まったく痛くならないのです。
先生のお手伝いができて、久しぶりに仕事らしいことをしたら、こんなにいい結果になるなんて……
私、もしかしたら心が病んでいたのかもしれません!」
「エエエ~、本当に~~~」
さらに、オチです!
最初、車椅子に乗せて診療室に連れて行った父が、義歯をリベースし、きちんと咬める義歯にした途端、ツエ1つで、1人で診療室へ行き、自らの義歯の調整していたのです。
咬める義歯には、歩ける効果、ボケない効果もあるという実証です。
もちろん、父はまだボケてはいません。
次回の帰省が楽しみになりました。