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天ママStyle vol.76  エージェント・マダム・グルグル

立春を過ぎた日本を抜け出し、バンコクへ来ています。

日本で罹った風邪を治そうとビキニで日光消毒をしたり、辛い辛いトムヤムクンを食べていますが、今のところ効果はないようです。

そして、コロニアルスタイルのティーラウンジの隅で、この原稿を書いています。

バンコクの友人S子さんをご紹介いたします。

彼女は20代の頃、友人とバンコクへ遊びに来て、その友人の食事会でバンコクに住む華僑のハンサムな男性と恋に落ち、そして結婚し、双子の男の子と1人娘を授かり、とても幸せに暮らしていました。

子供達の手が離れた頃、趣味で集めていたタイ近隣国の古い布や民芸品をまとめて、オリエンタルホテルの側に素敵なお店を構えると、ホテルの宿泊客に飛ぶように売れて、ニューヨークで個展を開き、日本ではサンモトヤマ(銀座で高級品を扱う老舗)に卸すほどに成功しましたが、ご主人の突然死で、すべての意欲を失い、身体を壊し、しばらく消息を断たれていました…。

とある日、東南アジア最大のスーパー『パラゴン』に、日本ではあり得ない超素晴らしいお店を出し、元気な笑顔もよみがえり、更にさらに幸せそうに見受けられます。

2人の息子はバンコクの長者番付の上位に名を連ね、娘の1人息子はトロント大学で首席です。

私は「S子さん、この四世紀半近くをバンコクで過ごして、今はどんな気持ちですか?」と漠然としたダサイ質問をすると、「初めてバンコクの空港に降り立ち、ホコリだらけの道を車で走りながら“ここが好き!”と思ったの! それだけよ、“ここが好き!”なの、今もよ」

「判る、判ります! 私も20代の頃、トランジットでバンコクの空港に立ち寄った時、“この国が好き、また戻ってくる!!”という感覚を持ちましたもの…」

同じ“好き”という、この国に抱いた感情でS子さんは人生を決める出逢いに導かれ、私は年に何度も訪れるセカンドハウスカントリーになっています。

話は変わり、昨年のゴールデンウィークに、フィレンツェからシエナ、トスカーナ地方、ナポリ、ポンペイ、アマルフィと南イタリア地方をミスターグルグル(グーグルのようにイタリアに関してとても詳しいので勝手にそう呼んでいる)夫妻と娘と4人で1,500キロのドライブ旅をしましたが、このミスターグルグル夫妻が、今年の4月からフィレンツェに移住することが決まりました。

日本でいうところのペンション、海外によくあるB and B(ベッド アンド ブレックファスト)を始めるそうです。

そこで私は、バヌアツ(昨年5人でバヌアツで歯科検診ボランティアをやりました)で料理を教えていたチュニジアやプラハの領事館のシェフをやったフランス料理人兼何でも屋の裕ちゃんを引っ張り込みました。

つまり、飛行機、行きたい所、やりたい事、食べたいもの等、旅のすべてをアレンジし、ゲストの100%満足旅を提供させていただく“エージェント・マダム・グルグル”を設立することにいたしました。

近々、4人で内容のツメのミーティングを行うことも決まっています。用意が整いましたら、皆様にご連絡させていただきますので、ぜひ、フィレンツェにお出かけくださいませ。

もしかしたら、フィレンツェの風があなたに“ここが好き!!”と言わせ、長期逗留になり、恋が生まれ、新種のオリーブ畑で大成功するかもしれませんよ!

オット、ここはバンコクでした。

S子さんに更に質問を続けました。

「すべてを手に入れた今は、何がしたいですか? 何が1番の楽しみですか?」

「最近、足をネンザしてから、ベッドでチーズをかじり、ワインを飲みながらテレビを観ることを覚えたのよ…それが楽しみかな。そして、やりたいことは【旅】ね。旅をしたいわ。いろんな所へ行ってみたいわ」

「今、1番行きたいところはどこですか?」

「まず、トコロ天を買いにシンガポールへ行くこと。来月は娘とドイツへ行くのよ。ドイツから帰ったら、孫を日本へ連れて行こうと思っているの。【旅】がやりたいことの1番ね!」

彼女達家族は家をいっぱい持っています。どの家にも家政婦と運転手が付いています。更に、息子達はタイでは高級犬とされる1匹のコーギー犬のために、スリーベッドルーム、メイド付きの一軒家=犬小屋(?)も持っています。

夢の叶え方はいろいろありますが…こんな夢みたいな本当の話もあるんですね。バンコクの熱帯の風に吹かれながら、

今はフィレンツェが“好き!!”と言わせようプロジェクトに頭が一杯なエージェント・マダム・グルグルでした。

カテゴリー:天Mama Style  投稿日:2015年3月13日