天ママStyle vol.78 ご招待
このところ患者さんからのご招待で、寿司三昧の贅沢な1週間を過ごしました。
東京でのお寿司は高価で、なかなか口にできないので有難い思いをしています。
そのお1人を、Aさんとしましょう。彼女は“いつか。いつか歯を治したい”という強い願望を持っておられたようですが、タイミングがなく、相談に行った歯科医の話にも納得ができず。思い起こせばスポーツ万能を自負しながらも、最後の踏ん張りが効かず、いつも2番手…
偶然ですが、Aさんと私は同じ美容院で、2度もエレベーター内でお会いしていたそうです。さらに担当者も同じだったため、私の素性がバレ、その美容師の勧めもあり、来院されました。
まず、レントゲンを撮り、現在のお口の情況を見させていただき、歯型を採り、次回の来院をお願いいたしましたが、Aさんは終始疑い深い視線を保ったまま、ニコリともなさらずお帰りになられました。
そして2回目の来院時、私はAさんの現状のままの歯型の模型と、ワックスアップした理想の模型を提出し、
なぜ、寝起きに頭が痛いのか
なぜ、スポーツの成果がイマイチだったのか
なぜ、転びやすく、杖が必要なのか
等々を詳しく説明させていただくと、突然、彼女のお顔が明るくなられて、治療を快諾されました。
それから4ヵ月余り過ぎ、
「次回で治療は終わりますヨ。これからはメンテナンスで通ってくださいね」と申し上げると、
「先生! 寂しいことを言わないでください。お寿司を奢りますから、食べに行きましょう」。
もう1人の方をBさんとしましょう。
この方は突然、ある方のご紹介で来院され、開口1番、
「私の歯を全部治してください!」
「占いの出来る人が、私の歯の悪いところを当てたんです。そこに知り合いがいて、即座に天井先生のところへ行くようにと命令されたのです。私はこの知り合いをとても信頼していますので、飛んで来ました。
とにかく悪いところは全部治してください」
Bさんの治療は大変難しい治療でしたが、“おまかせ!!”と腹をくくった彼女の潔さにちょっと感動して、私なりに精一杯治療をいたしました。
「先生、本当に、痛くないです…寝てしまいました」
「咬めます…ここに来るのが楽しくて…」
彼女を治療している時は、私の院長室はご主人の待ち合わせ場所となり、ワイワイ笑いながら、治療をさせていただいておりました。
そろそろメドが立った頃、お2人からお寿司のご招待を受けたのです。
ついでにCさんという方のお話をしましょう。
彼女はウツを患い、さらにご主人を2年前に亡くされ、治療中にも私にだけだと「死にたい、死にたい」と言われます。
「死にたいと言っている人で、死んだ人はいませんよ。
そんな事を言ったって誰も同情なんかしませんヨ!
死にたい人が歯を治したいのですか?
せっかく入れ歯を作るのですから、美味しいものでも作って、食事を楽しんではいかがですか?」
「作りたくないの。お弁当でいいの」
「お弁当を食べるために、入れ歯を作るのはもったいないですから、やめましょう!」
「やめないでください。作ってください…。
先生は話を聞いてくれるから来るんだけれど。
先生と話すと元気になるんですよ」
「話をごまかさないで…私は疲れますよ」
トンチンカンな話をしながら、私は彼女の顔色、表情を観察し、明るい顔になられるのを待ちます。
私のように(個性的に?!)やっておりますと、私を嫌いな方は確実に初日のカウンセリングだけで終わります。
とても残念ですが、本当の事を申し上げると、初日だけで終わってしまう方が多いのです。が、私の治療方針、治療に対する考え方を理解してくださった方は最初は半信半疑ながらも、次第に冗談が出て、協力的になってくださいます。
Aさんと、Bさんには、近々私からご招待をするつもりです。
Cさんは、治療が終わったら、まず近くのフランスレストランへお誘いします。
人が人を看る!!
こうして医療の楽しさが繋がります。